大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和41年(わ)4463号・昭41年(わ)3569号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(弁護人の主張に対する判断)

弁護人は、判示第一の(二)の所為について中止未遂である旨主張するけれども、およそ実行未遂の中止未遂は、結果発生を防止するため真摯な努力をなすことが要件であると解すべきところ、前掲証拠によれば、被告人は二階二号室の食卓上の新聞紙にマッチで点火して放火した後隣の三号室(自室)に暫らく潜んでいたところ、次第に恐怖心に駆られ、廊下に出て見ると二号室から煙が出ていたのでそのまま放置すると大火事になると思い、一階のアパート所有者山根保方に赴いて火災を知らせ、同人に同道して二階二号室前廊下に引き返し、その後同人に同室入口の開戸の一端を無理に引けば隙間からでも部屋内に入れることを教えた他は、同人が開戸の錠を金槌で外して開け、階下の炊事場から二回に亘りバケツの水を運んで消火する間、何らなすところなく傍観していたことが認められるから、かかる被告人の行為は、結果発生を防止するための真摯な努力とは評価し難く、中止未遂には該らないので、弁護人の右主張は採用できない。(戸田勝 上野智 井垣康弘)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!